見積にAIを入れるとき、道具の棚をどう見分けるか

- 見積に関わる道具は、販売管理、紙やFAXの読み取り、図面の拾い出し、見積の下書きの棚に分かれます。
- 棚ごとに受け持つ工程が違い、どの棚でも、出す値を決めるのは人です。
- 選ぶときは、説明の言葉より、御社の見積1件で何が出るかを確かめます。
見積に関わる道具には、どんな棚がありますか
販売管理、紙やFAXの読み取り、図面の拾い出し、見積の下書きの4つの棚があり、受け持つ工程がそれぞれ違います。
販売管理は、電材卸ではほぼ入っています。中小企業庁の2022年の調査には、電材卸132社が回答しました。見積から請求の手前までは、1つのシステムで回っていました。導入は10〜20年前が41%、20年以上前が18%です。年間の費用は、100万円以上が42%でした。電材卸向けの販売管理には、電二郎(パティオ)があります。20社を超えるメーカーの商品マスタを持つ製品です。
紙やFAXの読み取りは、届いた注文書を文字にする道具です。電材卸では、受注の6〜7割が電話とFAXです。因幡電機産業は、2018年からFAXの仕分けに道具を使っています。
図面の拾い出しは、図面の上の機器をAIで拾う道具です。主に、工事店や設備工事の会社向けです。どの製品も、結果を目で確かめ、手で直す前提で作られています。
見積の下書きは、届いた拾い出し表を品番に直し、単価の候補と根拠を付ける道具です。電材卸の見積にAIを使った実名の事例は、2026年10月時点の公開情報では見つかりませんでした。
それぞれ、何をして、何をしないのですか
販売管理は記録、読み取りは紙を文字に、下書きは単価の候補と根拠を作り、出す値はどの棚でも人が決めます。

販売管理が受け持つのは、決まった掛率で出る行と、受注・在庫の記録です。特値・取り寄せ・建値のように、ルールの外にある行は、担当者が決めています。
読み取りの道具は、紙の文字をデータにします。読み取った結果は、人が確かめます。読んだ品名を品番に直す所まで受け持つかは、製品ごとに確かめます。
見積の下書きは、ルールの外にある行に、単価の候補と根拠を付けます。根拠は、過去の見積や価格表の版です。人は印の付いた行を確かめて、承認します。
3つの棚は、どれかを選ぶと他が要らなくなる関係にはありません。販売管理を使ったまま、読み取りや下書きを横に足す形もとれます。
売り手の説明で、気をつける言葉はありますか
人が確かめる所が書かれていない説明には気をつけ、「おまかせ」「すぐに」と聞いたら確かめる所を聞き返します。
見積で困るのは、間違った値が工事店に届くことです。道具が間違えた時にどう見せるかが、選ぶときの要になります。
気をつける説明は、次の3つです。
- 人が確かめる所が、どこにも書かれていない
- 効果の数字に、出どころや測り方が書かれていない
- 今の販売管理や工事店の頼み方を、変える前提になっている
同業の声を聞く場もあります。全日電材連の若手経営者の会では、会員が社内のAI活用の事例を発表し合っています。
売り手に、何を確かめればよいですか
御社の見積1件で何が出るか、間違いをどう見せるか、今のやり方がそのまま使えるか、の3点を確かめます。
質問の例を挙げます。
- 自社の過去の見積1件で、下書きを見せてもらえますか。
- 読めない行や根拠の無い単価は、どう示されますか。
- 今の販売管理・Excel・FAXは、そのまま使えますか。
- 工事店の頼み方や、見積書の形は変わりますか。
- 出した値と直した理由は、どこに残り、誰が見られますか。
- 預けた見積はどこに保管され、やめたらどうなりますか。
- 電材卸での導入例はありますか。無ければ、どう確かめますか。
答えが具体的なら、自社の見積で試す値打ちがあります。答えがあいまいなら、見積1件で見せてもらうまで決めずに待ちます。
株式会社TechWorkerは、電材卸向けに「デンミツAI」を用意しています。AIが見積の下書きを作り、決めるのは人、という形です。御社の見積1件で、30分の実演(無料)をお見せします。
今週できること
1販売管理の中身を確かめる
使っている販売管理の名前と導入年、データをCSVで出せるかを確かめます。
2見せてもらう1件を選んでおく
先月の見積から、ベテランが一番時間をかけた1件を選びます。売り手に見せてもらう時の材料になります。
3任せたい工程に丸を付ける
見積の工程を紙に書き、道具に任せたい工程に丸を付けます。
よくある質問
販売管理を入れ替えないと、AIは使えませんか。
入れ替えが前提の道具も、そうでない道具もあります。今の販売管理のまま使えるかを、売り手に最初に聞いてください。
電材卸での導入事例はありますか。
見積にAIを使った電材卸の実名の事例は、2026年10月時点の公開情報では見つかりませんでした。自社の見積で確かめるのが確実です。
図面からの拾い出しも、AIでできますか。
図面の機器を拾う道具は、工事店や設備工事の会社向けに出ています。どれも、結果を目で確かめ、手で直す前提です。